REPORT

2013.11.01

調理作業着のカビ対策について

調理する方のユニホームに薄黒くカビが生えることがあります。
これはユニホームに付着した食品汚れにカビ胞子が付着して生えたものです。
衣類の繊維内部に絡まったカビ胞子の除去は非常に困難であることがわかりましたが、カビが必要な栄養分となる汚れを取り除くことでカビの発育を抑制することはできます。定期的に洗濯することが効果的である一方、厨房での作業着は、静電気が起こりにくい素材を選ぶことも重要です。

調査目的

厨房での作業中には周辺施設に触れたり、静電気によってカビの胞子が作業着に付着してしまうことがありますが、放置すればカビが生えかねません。
そこで、この付着したカビ胞子の除去方法について調べました。


調査方法

ペニシリウム(当社分離株)の胞子を静電気により布(ポリエステル65%、綿35%)に吸着させ、以下の方法で胞子の除去を行い、目視及び顕微鏡により胞子の除去の程度を観察しました。

①粘着シート(粘着シート2往復)
②ドライヤー(風速25m/sを20秒)
③洗剤(水道水15L:洗剤10g)で1分洗った後、水道水15Lの溜水によるすすぎ1分を2回


調査結果


考察

今回の実験で衣類表面に付着したカビ胞子は粘着シート、ドライヤーの風、洗剤洗いである程度除去することができましたが、繊維内部に絡まった胞子は完全には除去できませんでした。このカビが発育すると周辺を汚染することになりますが、カビが発育するには栄養分が必要なので、栄養分となる「汚れ」を取り除けば発育を抑制することができます。
この意味からも、調理作業着を定期的にクリーニングすることが有効です。
また、厨房等で着用する作業着等は静電気を帯びにくい素材を採用することで胞子の吸着を抑えられる、厨房に入る前に粘着ローラーやエアシャワーを用いる事でも、表面に付着するカビ胞子の減少が期待できます。

<参考>
汚れの無い布にペニシリウムの胞子を吸着させ、布に水分を多く含ませた状態で、25℃で6日間培養を行い、水分だけでの発育の有無を観察したところ、カビの発育は見られませんでした。布の上でペニシリウムが発育するには水分だけでは不十分であり、汚れなどの栄養分が必要であると考えられました。


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