REPORT

2010.12.01

「おにぎり」に付いた黄色ブドウ球菌による食中毒リスクの調査

ごはんに付いた黄色ブドウ球菌は、条件が整えば食中毒の原因毒素エンテロトキシンを数時間で産生します。特に手指の傷からの黄色ブドウ球菌に汚染されやすい「おにぎり」は製造後品温を速やかに下げ、高い温度での長時間保存も避けなければなりません。
(ただし50℃以上ではエンテロトキシンは産生しません。)

調査目的

日本ではおにぎりを原因食品とする食中毒事故が多く発生しています。そこで、ごはん中での黄色ブドウ球菌の増殖と毒素エンテロトキシンの産生を温度、時間毎に調べました。


調査方法

■試験方法:市販のレトルトご飯に黄色ブドウ球菌培養液を接種し、25℃及び35℃で保存した場合の黄色ブドウ球菌数とエンテロトキシン産生の有無(RPLA法)を調査しました。
■保存時間:4時間、7時間、10時間、13時間、16時間、22時間


調査結果


考察

黄色ブドウ球菌は、傷がある箇所や健常なヒトの手指、鼻前庭にも高率で付着していて、手指を介してしばしば「おにぎり」を汚染します。黄色ブドウ球菌は米飯中で106/g程度まで増殖するとエンテロトキシンを産生し始め、最初に付いた黄色ブドウ球菌量が多かったり、保存温度が高ければ、短時間でエンテロトキシンを産生することが分かります。従って「おにぎり」の場合、黄色ブドウ球菌に汚染されないように注意するのはもちろんですが、保存温度、時間にも注意が必要です。

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