REPORT

2014.12.01

「水分活性」が細菌増殖に与える影響について

「水分活性」を低くすることで細菌の増殖を抑制することができます。
食品を保存する際の安全性のためには、初期段階での細菌数の抑制や加熱による殺菌、pH調整や保存料等の添加などを複合的に行っているのが一般的ですが、製造段階でこの「水分活性」を低く抑えるという視点も重要です

調査目的

「水分活性」とは食品中の水のうち細菌などの生物が使用できる水=自由水の割合を示す指標のことで、食中毒や腐敗の原因となる細菌はこの自由水を利用して増殖します。ジャムやイカの塩辛などは水分活性が低いことによって、細菌の増殖が抑えられて食品保存の安全性が高まっています。
そこで水分活性の違いで細菌(E.coli、黄色ブドウ球菌)の増殖がどのように変化するのか調査しました。


調査方法

■水分活性の調整:糖(グルコース)で試験液の水分活性を0.90から0.98に段階的に調整。
■検査方法
①水分活性が0.94から0.98の試験液にE.coli Escherichia coli(ATCC 8739)を2.4~6.6×10²/mlに調整し0.1ml添加。36℃で24時間培養後、菌数の測定を5日目まで行いました。
②水分活性が0.90から0.94の試験液に黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus(ATCC 6538P)を3.6×10²/mlに調整し0.1ml添加。36℃で48時間培養後、菌数の測定を3日目まで行いました。


調査結果


考察

今回の調査から、水分活性をE.coliでは0.94、黄色ブドウ球菌では0.93に調整することで細菌の増殖を抑制できる事が確認できました。さらに、水分活性を0.01下げるだけで菌の増殖に与える影響が大きいことも確認できました。 但し、今回の調査では水分活性を0.01下げるには、糖を大幅に増量(40%)しなければならず、実際的ではないと言わざるを得ません。製造段階においても加熱等、複合的に行う必要がありそうです。

CONTACT

pagetop