REPORT

2012.04.01

「煮炊きものに火をいれる」生活の知恵の有効性を確認しました。

昔からよく言われている「煮炊きものに火を入れる」のは、加熱調理後の取り扱いでしばしば起こる食中毒や腐敗の予防として経験的に会得した、いわゆる生活の知恵だったと考えられます。それはセレウスなどの耐熱性芽胞菌が主な原因と考えられ、単なる加熱調理では殺菌出来ません。しかし、間欠滅菌を応用して、ヒートショックとその後の常温放置により芽胞から発芽させた状態にして加熱を繰返す事により耐熱性芽胞菌の菌数を減少させることが出来ることが分かりました。

調査目的

土もの食材に付いているセレウスや枯草菌等の好気性芽胞形成菌により食中毒や腐敗が起こることはよく知られています。
この菌は耐熱性の芽胞を形成するため、殺菌するには高圧蒸気処理が必要で、単純な加熱調理で菌数を減少させることは出来ません。そこで、難しいやり方でなく「火の入れ方」による耐熱性芽胞菌の菌数を減少させる方法を検討しました。


調査方法

■使用菌株:セレウス菌(Bacillus cereus)、枯草菌(Bacillus subtilis
■試験方法
普通ブイヨンに芽胞菌を接種し、ヒートブロックで75℃、95℃それぞれ10分間加熱処理し急冷した後25℃で3時間放置した。その後同様の処理を2回繰り返し、加熱後の生残菌数を標準寒天培地で計測した。


調査結果



考察

セレウスなどの耐熱性芽胞菌は、芽胞から発芽させた状態で加熱処理を行えば殺菌が有効になることが分かりました。間欠滅菌は長時間要するため食品製造現場には不向きですが、間欠滅菌を応用した短時間の処理でも菌数を減少させることが可能との結論になりました。
例えば、煮炊きもののセレウス食中毒予防には、煮沸・室温放置後の再煮沸により一定の効果が期待出来るということです。即ち「火を入れる」という生活の知恵を証明する結果になりました。
注:処理条件は菌種、菌株により異なります。

※間欠滅菌とは100℃30分間加熱した後、発芽しやすいように24時間常温で放置する。これを3回繰返す事により芽胞菌も含めて殺菌する方法。細菌検査用培地等の滅菌に利用される。

CONTACT

pagetop