REPORT

2011.02.01

黄色ブドウ球菌の加熱殺菌は何度、何分が必要か?

黄色ブドウ球菌の殺菌は、腸管出血性大腸菌O157と同様で、食品の中心部が75℃・1分以上の加熱が有効です。しかしながら、汚染菌数が高ければ殺菌効果が不十分となる可能性もあり、現場では加熱を過信せず、清潔な取扱いや温度管理を徹底し、まずは食品に菌をつけないこと、そして増やさないことを心がけることが重要です。

調査目的

一般的な食中毒菌の殺菌条件は、中心温度が75℃・1分以上の加熱とされていますが、これまで黄色ブドウ球菌に関しては、63℃・30分(牛乳や食肉製品の低温殺菌)や80℃・30分というデータしかありませんでした。しかし、30分の加熱は商品価値を損ねる危険性もあることから、黄色ブドウ球菌についての殺菌温度条件に関する検証を行いました。


調査方法

■試験期間:平成22年12月~平成23年1月
■試験方法
黄色ブドウ球菌の初発菌数を103~106cfu/mlに調製し、各試料液について
①65℃・60秒、②70℃・30秒及び60秒、③75℃・30秒及び60秒の加熱条件で生残菌数を測定しました。
なお、加熱は試料液温が設定温度に達した時点から開始しました。


調査結果


考察

今回の結果より、75℃・1分の加熱で最大1/100000の殺菌効果が認められました。また黄色ブドウ球菌は手指を介して食品を汚染しやすく、食品表面に付着していることが多いと考えられます。加熱調理では中心部および表面部で徐々に温度が上がるので、軽度の汚染や表面に付着した黄色ブドウ球菌に対しては、この段階でも殺菌効果が得られると推察されます。

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