ホーム > 調査レポート >ゆで麺のpHと細菌増殖の関係について
市販されているゆで麺には、酸味料を使用してpH値を下げ、保存性を高めているロングライフ麺と呼ばれるものや、かんすいの使用によって、アルカリ性になっている中華麺等、酸性、中性、アルカリ性を示す種類の麺が存在しています。今回、これらの異なるpH値のゆで麺を使用して、細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌、乳酸菌)の増殖に変化がみられるかどうかを調査しました。
大腸菌の生育可能pH領域はpH4.3〜10.0とされているので、中性とアルカリ性のゆで麺では増殖しましたが、pH4.1の酸性のゆで麺では増殖しませんでした。 黄色ブドウ球菌の生育可能pH領域はpH4.0〜9.8とされているので、中性とアルカリ性のゆで麺では増殖しましたが、生育可能pH領域の閾値に近いpH4.1の酸性のゆで麺では増殖しませんでした。 乳酸菌には耐酸性がある為、pH4.1のロングライフゆでうどんでも増殖が見られましたが、増殖速度は中性のゆで麺と比べると遅くなりました。また、アルカリ性のゆで麺では乳酸菌は増殖しませんでした。
今回pH値の異なるゆで麺を用いて、数種類の細菌の増殖との関係を調べたところ、大腸菌、黄色ブドウ球菌は酸性側の麺で、乳酸菌はアルカリ性側の麺で増殖が抑えられました。 これは菌の種類によって生育可能なpH値が異なるため、そのpH領域を外れると菌は増殖しないことを示しています。大腸菌や黄色ブドウ球菌の場合はpH値を酸性側に、乳酸菌の場合はアルカリ性側に調整することによって増殖を抑制することができるということです。 この他、サルモネラや腸炎ビブリオは酸性側で、酵母はアルカリ性側で増殖が抑制されると言われています。